大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

最高裁判所第一小法廷 昭和44(あ)1212 判決

主 文

本件上告を棄却する。

理 由

弁護人副島次郎の上告趣意は、単なる法令違反、量刑不当の主張であつて、適法

な上告理由にあたらない。

弁護人出射義夫、同江川洋の上告趣意第一点は、憲法三九条違反をいうが、検察

官が控訴を申し立て第一審判決の刑より重い刑の判決を求めることが憲法三九条に

違反しないことは、昭和二四年新(れ)第二二号同二五年九月二七日大法廷判決(

刑集四巻九号一八〇五頁)の判示するとおりであり、検察官が死刑の判決を求める

場合もその例外とは解されないから、所論は理由がない。

同第二点は、憲法三六条違反をいうが、死刑そのものは憲法三六条にいわゆる「

残虐な刑罰」にあたらず、かつ、裁判官が、各具体的事案に対し、法律において許

された範囲内で刑を量定した場合に、かりに被告人の側から見て過重な刑と思われ

たとしても、これをもつて直ちに「残虐な刑罰」というべきものでないことは、当

裁判所の判例とするところである(昭和二二年(れ)第一一九号同二三年三月一二

日大法廷判決刑集二巻三号一九一頁、同二二年(れ)第三二三号同二三年六月二三

日大法廷判決刑集二巻七号七七七頁参照)。したがつて、原審の科刑をもつて所論

のように「残虐な刑罰」にあたるものとすべきでないことは、右判例の趣旨に照ら

して明らかである。

同第三点は、量刑不当の主張であつて、適法な上告理由にあたらない。

被告人本人の上告趣意中憲法三八条違反をいう点は、記録を調べても被告人が不

利益な供述を強要されたことを認めるべき証跡はないから、所論は前提を欠き、そ

の余の論旨は、単なる法令違反、事実誤認の主張であつて、いずれも適法な上告理

由にあたらない。

- 1 -

なお、記録を精査しても、所論の点について、刑訴法四一一条を適用すべきもの

とは認められない。

よつて、同法四一四条、三九六条により、裁判官全員一致の意見で、主文のとお

り判決する。

検察官 羽山忠弘 公判出席

昭和四五年三月二六日

最高裁判所第一小法廷

裁判長裁判官 松 田 二 郎

裁判官 入 江 俊 郎

裁判官 長 部 謹 吾

裁判官 岩 田 誠

裁判官 大 隅 健 一 郎

- 2 -

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!